法定養育費と通常の養育費の違い
最終更新日:2026-09-03執筆:弁護士 武中 裕貴(第一東京弁護士会)
結論
法定養育費は、適正な養育費が決まるまでのつなぎの制度です。金額は子1人につき月額2万円と一律で、父母の収入は考慮されません。本来の養育費額を定めるには、協議か、家庭裁判所の養育費請求調停・審判が必要です。
4つの違い
1. 金額の決まり方
法定養育費は、子1人につき月額2万円と法律上決まっています。これに対して通常の養育費は、父母双方の収入、子の人数と年齢などをもとに、標準算定方式・算定表を参考にして決まります。収入によっては、月2万円より高い金額になることも、低い金額になることもあります。
2. 取決めの要否
法定養育費は、取決めをしていないことが前提の制度です。通常の養育費は、協議、調停、審判などによる取決めがあって初めて具体的な金額が決まります。
3. 差押えの根拠
法定養育費の差押えは、一般先取特権という担保権の実行として行います。通常の養育費の差押えは、公正証書、調停調書、審判書といった債務名義に基づいて行います。必要な資料も申立書の書き方も異なります。
4. 位置づけ
法定養育費は暫定的・補充的な制度で、父母間の合意や調停・審判によって養育費が定められた時点で終了します。通常の養育費が本来の姿であり、法定養育費はその手前を支えるものです。
どう使い分けるか
養育費を取り決めずに離婚し、支払いが滞っている場合、次の二段階で進めるのが現実的です。
- まず法定養育費の給与差押えで、当面の月2万円を確保する。
- その後、養育費請求調停・審判で、双方の収入に応じた適正額を定める。
調停で相手方が合意しない場合でも、養育費請求事件は原則として自動的に審判へ移行し、裁判官が金額を判断します。
注意点
法定養育費の月2万円は、将来の養育費額を先取りするものではありません。調停・審判で適正額が定まった後は、その金額が基準になります。
次に確認すること
二段階の進め方については養育費請求調停・審判のページ、費用は料金のページをご覧ください。
あらかじめご確認ください
- 回収を保証するものではありません。相手方の在籍状況、給与額、他の差押えの有無、退職、支払能力に関する争いなどにより、回収できない場合や回収額が限られる場合があります。
- 給与差押えは、将来分を直ちに一括で受け取る制度ではありません。原則として、毎月の法定養育費の支払期が到来した後に、勤務先から支払われる給与を通じて回収します。
- 掲載内容は作成時点の法令及び裁判所の運用に基づくものであり、今後変更される可能性があります。