法定養育費とは――対象者、金額、開始日を弁護士が解説
最終更新日:2026-09-03執筆:弁護士 武中 裕貴(第一東京弁護士会)
結論
2026年4月1日以降に、養育費を取り決めずに離婚し、その後も引き続き未成年の子を主として監護している場合、相手方に対して、子1人につき月額2万円の法定養育費を請求できる可能性があります。公正証書や調停調書がなくても請求できるのがこの制度の特徴です。
対象となる方
次のすべてに当てはまる方が、主な対象です。
- 離婚した日が2026年4月1日以降であること
- 養育費について、口頭・メッセージアプリを含めて何も取り決めていないこと
- 未成年の子がいること
- 離婚時から現在まで、その子を主として監護していること
「取り決め」には、公正証書や離婚協議書のような書面だけでなく、口頭やメッセージアプリでのやり取りが含まれる場合があります。金額や支払方法について具体的に話し合った記憶がある方は、その内容を弁護士に確認してもらってください。
金額と期間
金額は、子1人につき月額2万円です。子が2人いれば月4万円になります。これは、父母双方の収入にかかわらず一律の金額です。
法定養育費は、次のような場合に終了します。
- 父母の間で養育費についての合意ができたとき
- 調停や審判によって養育費が定められたとき
- 子が18歳に達したとき
つまり、法定養育費は「適正な養育費が決まるまでの、つなぎの制度」です。月2万円がそのまま将来の養育費額になるわけではありません。
支払われない場合の手続
相手方が支払わない場合、法定養育費には一般先取特権という担保権が認められているため、その実行として相手方の給与の差押えを申し立てられる可能性があります。通常の養育費の差押えでは公正証書や調停調書といった債務名義が必要ですが、法定養育費ではこれらがなくても手続を進められる可能性があるという点が大きく異なります。
注意点
- 給与を差し押さえても、将来分が勤務先から直ちに一括で支払われるわけではありません。各月の支払期が到来した後に、給与から回収する仕組みです。
- 相手方が退職すると、その勤務先からの回収は続けられなくなります。
- 相手方の勤務先が分からない場合、まず勤務先を特定する手続が必要になります。
次に確認すること
ご自身が対象になりそうかどうかは、対象者診断で確認できます。ご回答は送信されません。制度の詳細は法定養育費とは、費用は料金のページをご覧ください。
あらかじめご確認ください
- 回収を保証するものではありません。相手方の在籍状況、給与額、他の差押えの有無、退職、支払能力に関する争いなどにより、回収できない場合や回収額が限られる場合があります。
- 給与差押えは、将来分を直ちに一括で受け取る制度ではありません。原則として、毎月の法定養育費の支払期が到来した後に、勤務先から支払われる給与を通じて回収します。
- 掲載内容は作成時点の法令及び裁判所の運用に基づくものであり、今後変更される可能性があります。